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ジャンプ11号のムヒョロジ
2006-02-16 Thu 22:41
 今週のジャンプ感想でムヒョロジについて批判的なことを書いたんですけど、その後いろんな感想サイトを巡りながらさらに考えました。内容は分析・考察でもファンの方には嬉しくないと思います。構わないという方だけ続きを開いてください。


 ロージーの結論が「ありのままの僕でいい」だった件について。
 いや良くないだろ?と真っ先に思ったから、うけいれにくかったわけです。いままで散々ありのままに振る舞って足手まといになってきたじゃん。なにを学んだんだ。なによりも自分のちからで自立する方向ではなく今後もムヒョにべったり依存していこうという結論だったのに引いたわけです。それって成長? というか、ロージーに僅かなりとも残っていた自立心の芽をムヒョとペイジが用意周到に潰してみせたようにすら感じたんですよ。ペイジの「力は必要ないとでも……?」という言葉も、まるで大事な人を売って悪魔と取引しようとしているかのような感じですけど、じっさい禁魔法律家の活動を調査する仕事はべつに悪いことでもなんでもないむしろ良いことですし、自分に都合のいい結論に誘導尋問しているように思えます。

 しかし冷静になってみると。
 これって……ロージー自身が自立なんて望んでないという話なんですよね。彼の性質に適した生き方を選択しただけです。まさに「ありのままの僕でいい」。
 世間の風潮では精神的に自立心・独立心をもつことは大事なこと、だれにでも必要なこととされてますけれども、じっさい世の中には「だれか頼れる人に守ってもらわないと自分ではなにひとつ決められない」「私の夢は彼の夢が叶うこと」みたいな、悪くいうと“自分のない”タイプの人が存在するじゃないですか。そして、そういう人にしかない良さってのも当然あるわけで。
 ロージーはそういう世間的な思想の流行では良しとされていない弱者を「そういうのもアリだよ」と認めて擁護しているキャラなんですよね。「強くなれ大人になれっていわれても自分にはそんな生き方あわないっていうかしんどいだけなんですけど、そんな無理してたら人生なにが楽しいのかわかんないよ」みたいな性格の人を肯定的に描いてるんだ。ダメ人間なんじゃなく“そういう性質の人”です。
 だとしたら今回のロージーの結論はオッケーなのかな、と考えを改めました。

 一方、作品全体を見回すと別の問題がみえてきます。
 世の中にはいろんな考え方があって、そのひとつを特別に好んで擁護するのは、もちろん悪いことではありません。しかし世の中にはそれを良しとしない考え方もあるという事実を、まるで存在しないかのように扱うのはどうなのか。ロージーの周囲の人たちがロージーの性質を認めすぎってことです。彼のような性格がダメな人はかなりの割合で存在するはずでしょう。違いますかね。客観性なさすぎ。まれに彼を疎んじる人が登場したとしても、それはそのキャラが利害の反する立場であるか、本当に大切なものをわかっていないダメな人であるか、血も涙もない悪役なのであり、主人公側の味方や友人つまり善や中立に属するまともな人で、かつ「その性格はマジ困るなあ」と感じる人は、存在しないのです。
 さらに進んで、この世界における「本当の強さ」がわかっている人は、なにをしても許される傾向まであります。今回のペイジも責任はとったようですが(てか、これも嘘なの?)合宿で被害をうけた研修生たちから非難の声を浴びるような様子も謝罪する気配がないのも予想通りでしょう。ペイジは正しいことをしているという扱いですからね。そのために犠牲になった人もペイジの目的を知れば納得し、喜んで身を捧げるべきなんです。そうでない人はダメ人間として描かれるでしょう。リオ先生がビコの才能を伸ばすために事故が起こるとわかっている実験をあえてやらせたときも、ビコのためならほかの生徒がケガしてもぜんぜん構わないって態度で「まさに依怙贔屓だ教師の風上にもおけん」と思いましたが、作者の人が特定のキャラクターや団体を同じように扱っているのがわかります。
 多様な価値観を認めない作品にはどうしても本能的な警戒心が働いて、引き気味に見てしまいます。

 少年マンガですから主人公の成長は大事な要素ですよね(少年マンガに限った話じゃないか)。成長するためには、まず試練にぶつかる必要があります。
 ロージーは、その性格だと必ずぶつかるであろう周囲との軋轢が、作者によってなかったことにされているので、そういった面では絶対に成長しないことが確定しています。成長するチャンスを奪われている。本人が自己肯定するのとはぜんぜん違う話ですよ、これは。
★ここから追記
 これはアレかなぁ。天然さんや不思議ちゃん系の人って学校や社会でいろんな人と接して経験を重ねるうちに、否応もなく矯正されて普通になっていくもんですよね。そうでないと生きていけませんし。でも二十歳を超えても天然の牙城を守り続けている人も存在するわけで、それは本人が人の話をきかないとか人目なんか気にしない性格である可能性もありますが、だいたいはその人の身近な人……家族や恋人や相方や親友などが、その天然な個性を長所として尊重し、矯正されないように(悪くいうと成長させまいと)面倒をみちゃっているからだと思うんですよ。
 以前、言葉の足りないムヒョがだれかに「酷い人だ」みたいに思われた瞬間、ロージーが両手を広げて立ちはだかって「違うんだ、ムヒョのいいたいことは本当はそうじゃなくて」みたいな通訳を始めたことがあったじゃないですか。もちろん純粋な善意でやっているわけですけど、ムヒョのコミュニケーション能力に問題があるのを直すチャンスを奪っているともいえます。
 作者の西先生は天然ですよね……? たぶん、こんな感じで育てられてきた人だと思うんですよ。だから自分がキャラを育てるときも同じようにしてるんじゃないのかな~。
★追記ここまで

 この作品の試練とは、本人が自分のなかに存在する問題とどうつきあうか、どう受けいれるか、自分はどう進んでいけばいいのか、という内面的な部分に終始しており、そこからじっさい社会でどう行動していくか、自分の性格が原因で周囲と摩擦が起きたときどう対処するべきか、そういった外面的な問題にまでは至らないんですね。なぜかというと、そのふたつは同じ問題だとみなされていて、内面的に解決して自分が揺らぎないものにさえなれば、黙っていても周囲はそれを察してくれて、本人はなにも自分の言動や表現に気を遣わなくてもそのように扱ってくれるからです。「自分はこのような人間だ」という自己像(理想像?)さえ見つけることができれば、その瞬間いきなり周囲にもそういう人になったと認識してもらえるんです。
 インナースペースとアウタースペースが一致している世界。どこかのサイトさま(見失いました)で「この世界は資格取得=就職なんですね」という感想を読みまして、それだ!と気づきました。形のない“意味だけのもの”が、とくに努力しなくてもそのまま実体化する世界なんです。

 ここまでくればこの作品の読み方も自ずから明らかになってきます。現実的な問題はすべて「些末なこと」「二次的なこと」であり、作者は興味がありません。大切なのは心です。描きたいメインテーマはその部分でしょう。ですからこちらも作者が重要視している部分を読みとって反応すればいいんです。

 で、作者の主張したい重要な部分。今回のロージーの結論ですが。
 先に書いたようなことも思いましたが、助手の仕事をしている者が「僕も並んで戦う!」というのはやはり当たり前すぎて、たしかに必要なこと大事なことかもしれませんけど、だれでもわかるような目新しくもなんともない考えである、と思います。いままでが「わかってなさすぎ」でしたので、そう過大に評価する気にはなれません。
 普遍の真理とは陳腐でもあるってことでしょうか。ロージーがようやく人並みのスタート地点に立てたのはわかりました。今後の言動にも注目していきます。

 こんな感じですかね~。とりあえず感想を続けることは可能みたいです私。


 余談ですが。この記事をまとめる際ムヒョロジに対して好意的な感想をとくに重点的に読みました。今回のメロドラみたいな見開きに大盛り上がりしている感想などを読むと、こう、音楽をきくみたいに作品を読んでいるんだなって思う。好きな歌詞を引用するスレなどで思うことですが、文字だけだと大した内容でもなかったするんですよ、メロディの威力によってその部分が印象的に演出されているだけで。同じようにマンガでも作者的に「ここは感動する場面ですよ」「ここは悪役に怒りを募らせる場面ですよ」という演出をしている部分をそのまま素直にストレートに受けとめていて、台詞の意味も、文字の内容より演出で強調されている感情を台詞に大量に加味したうえで理解しているといいますか。雰囲気で読んでいる、ともいう。自分が物を書くときのことを考えてしまいます。
 皮肉でもなんでもなく「良い読者」ですよね(ノンフィクションやニュースを同じ調子で理解しているなら心配になりますが……)。好きだなー、読んでて楽しい感想です、つい夢中になってしまう。
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