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クローサー
2006-08-06 Sun 15:08
 Wowowでやってた映画の感想です。2004年の作品ですがネタバレです。

 『クローサー
 まったく予備知識のない状態で見ました。登場人物が4人しかいない、みたいな狭い人間関係が描かれています。そして妙に抽象的な言葉を延々と口走ります。舞台演劇みたいだなーと思ったら、ホントに戯曲を映画化した作品でした。ちょっとそのまんま移植したって感じがしすぎですね。

 テーマは恋愛です。ドロドロです。
 あらすじ……


 舞台はイギリス。作家志望の新聞記者ダンは、アメリカから単身でやってきたばかりの少女アリスと街で出会い、同棲を始めた。アリスの半生を描いた小説で念願の作家デビューを果たす。ところが、出版に必要な著者近影を撮るために写真家アンナのスタジオに行ったところ、ダンとアンナは互いに一目惚れ。だがアンナはアリスの存在を知って身をひく。面白くないダンはインターネットの出会い系チャットでネカマをやってアンナの名前を騙って男を引っかけて遊ぶ(アホか……)。ラリーという皮膚科医と待ち合わせすることになり、本物のアンナが水族館が好きだといっていたのを思いだしてそこを指定し、当然すっぽかしたところ、ラリーは本物のアンナと偶然遭遇してしまった。トラブルになったけど二人はめでたく恋人に。しばらくしてアンナは写真家として成功し個展を開催、ダンと再会して密かにつきあうようになる。アンナとラリーはそのまま結婚したが、アンナの不倫がバレてケンカ別れ、ダンもアリスに二股してるのを告げてアリスに逃げられる。ダンとアリスは晴れて恋人となって結婚しようとするが……という話。バッドエンドです。起承転結の転まで書いちゃった。

 アリス役の人が最優秀助演女優賞、ラリー役の人が最優秀助演男優賞をとってるので、やっぱりダンが主人公なんでしょうか。上記二名の演技が素晴らしくインパクトも強烈で、主人公が霞んでしまっています。てゆうかエンドロールのクレジットはアリスが最初だった気もするし、アリスが主人公だと思う。なんで「助演」だよ。
 4人の中でアリスは少し特殊な位置づけです。ほかの3人よりかなり年少で、劇中での時間経過に従って髪が長くなり、どんどん女っぽくなっていきます。そういう外見の明らかな変化で成長期であることを描かれているのは彼女だけです。最後は24才になってましたけど、それでもまだ子供扱いされてるところがありました。
 一方、主人公?のダン。ふつうは物語の最初と最後を比べると主人公はなにかしら変化しているものなんですが、なかなかそれが表れない。彼のダメな部分は自分のことを大人だと思っていて、大人の考え方がどんなものかも知っていて、実際いい年ですから周囲も彼を大人扱いしているのに、本質的な部分でワガママな子供の面が強く残っていることだと思います。ダンはアンナにもアリスにも「隠し事はしないようにしよう、愛があれば乗り越えられる」と約束します。アンナはその言葉を信じて悪い事実もダンに告げ、彼女自身は「愛によって乗り越える」ことができる人だったんですが、言いだしたダンのほうがそんな大人の対応できなかったという(笑)。本当にダメ男だなあ。アリスはそんな彼のことがわかっていて、つまり自分より遙かに年上の人を大人じゃないと思ってて、口だけの約束はしたけど絶対に真実を話さなかった。アリスは子供だから子供らしい嘘をよくつく人だという描写が何度かあり、ほかの登場人物たちや視聴者はてっきりそうだと思ってたのに、ラストで実はそうじゃないのが判明するんですよね、なかなか感動的?なラストです。

 ダンはアリスを選ぶべきだったろうに、いつまでもそれに気がつかない。最後の最後でやっと成長するんだけど、もう手遅れだった、というバッドエンドでした。成長したのに上手くいかない結末は仕事とか戦いとかだと消化不良なんですが、恋愛ならそういうことも起こりうる、努力だけでは成功できない分野だってことなのでしょう。私は納得したけど、いろいろなレビューを読むと納得できない人もいるみたいでしたね。そんな現実的な展開は映画でまで見たくない、夢がほしい、という感想が多いです。世間では少女マンガ的な展開が求められているのか……まあ韓国ドラマがウケるくらいだし。
 どんなキャラにも長所と短所があって、長所を中心に描いている物語は気持ちいいし、この作品のように恋愛のもつれによってむきだしになった人間の醜い部分ばかりを描いていれば、そりゃー気持ちよくないです。みんなしてヤな感じ。その中でアリスだけが常に本音で動いているようで、「隠れていた醜さが表れた」って感じはしません。素の性格がよいのか裏表ができるほど成熟していないのか……両方なんでしょうけど。

 要するに、人間力の低いダンは本人なりに努力したんだろうけど事態をうまく制御できなくて不幸な結末に終わり、彼と違って人間力が高いアリスは、ダンと関わったためにツライ目にあったけども、それを糧にしてどんどん前進していくことができる。そんな姿が描かれている作品でありました。
 視聴者自身が自分のことを人間力が高いと考えてるか低いと考えてるかによって作品の感想が正反対になりそうだなあ。この作品は賞をとってるんですが、たぶん審査員たちは前者なんじゃないかな……そして一般の観客にはたぶん後者が多くて、そのせいで評価にえらい差があるんじゃないかって感じでした。

 創作技術的なこと。
 作者が主張したいことをそのまま言葉にしない、登場人物にそのまま喋らせない、ってのは作品作りの基本です。しかし、恋愛においては、本心を相手に伝えないのはその人の怠慢であり「悪いこと」だと思います。登場人物が自分なりに全力を尽くしていないのは好感度を著しく下げる行為です。このふたつを巧く両立させるためにはどうしたらいいのかが、この作品には描かれていたと思います。
 あとアリスのコートの使い方が印象的だった。ひとりでイギリスに来てダンと出会ったときの、髪を真っ赤に染めてパンクだったアリスを象徴するデザインのコート。ビジネス街らしく通行人は地味なスーツを着ている人ばかりだから余計にアリスが目立つ。周囲の様子と比較する形で存在感をだすのは巧い。数年後、ダンの浮気を知って出ていくとき、そのコートを着ます。同棲を始めてからアリスは服装が大人しくなり、髪も黒く戻していますから、そのコートがあまり似合わない。でもまた以前のようにひとりで生きていくという決意の表明ですよね。ダンもアリスもそのコートについてなにもコメントしていないのに、これが重要なアイテムだとわかります。同じような効果を絵がない小説で出すにはどうしたらいいのかな……映像があって初めて成立する演出かしら。


 てなわけで、ドロドロの愛憎劇が好きな人は楽しめる作品かもしれません。
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この記事のコメント
感想が面白かったのでサイコパスと平気でウソの感想も拝見しました。
恐ろしくも楽しかったです!
atolyさんってヤッパリスゴイですね~。(は!ほめちゃった)
2006-08-07 Mon 07:05 | URL | けん #B8wQSCvI[ 編集] | top↑
どうもー、お久しぶりです。しばらくアクセスしてなくてすっかり気づきませんでスミマセ……!
褒められちゃった! ありがとうございます。調子に乗って更新がんばってしまいますよw
でも昔のサイコパスあたりを読んだら恥ずかしくて死にたくなりました。自分が趣味で小説を書くための参考資料として考えてることが前提なので、それがないと意味不明な部分もあったし。ちょっと修正しちゃおっかな;;;;

もうすぐNFLシーズンですね。昨シーズンのビデオがまだ見終わってないし感想を書くつもりのメモが机の上に積み上げられたまま一年が過ぎてしまいました情けない。今年は感想で完走できるようにがんばります。
↑うまいこといったつもりだけど親父ギャグっぽ。
2006-08-23 Wed 00:08 | URL | atoly #Iq8fyM7U[ 編集] | top↑
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